脳卒中のあと、「まずはトイレまで歩いて行けるようになってほしい」「移動のたびの見守りや介助を、少しでも軽くしたい」と願っているご家族は少なくありません。
京都・中京区の京都オステオパシーセンター2Fでは、歩く力だけでなく、立ち上がり、体重移動、注意面、安全性まで含めて見直しながら、自費の施術を行っています。※当院は医療機関ではありません。
理学療法士・健康科学修士の大村颯太が、研究で分かっていることも交えながら、歩行とご家族の負担の両方をどう見ていくかをお伝えします。
今回は、重度の片麻痺と骨折後の拘縮が重なった60代男性で、車椅子中心の生活から4点杖での歩行へ少しずつ前進した一例をご紹介します。※変化のあらわれ方には個人差があります。
📑 目次
こんなお悩みの方へ
脳卒中のあと、車椅子での移動が中心になり、「まずは家の中で少しでも歩けるようになってほしい」「トイレまでの動線だけでも楽にしたい」と感じているご家族は多いと思います。ご本人としても、立ち上がるだけで精一杯だったり、装具をつけても一歩を出すのが難しかったりして、外から見える以上に大きな負担を抱えていることがあります。
特に、重度の片麻痺に骨折後の拘縮が重なると、単純に「脚の力をつければ歩ける」という話ではなくなります。だからこそ当院では、歩行の形だけでなく、立つ準備、体重の乗せ方、姿勢の崩れ方、注意面の特性まで含めて、ひとつずつ丁寧に見ていきます。
なぜ車椅子中心の生活になりやすいのか
脳卒中のあとに歩行が難しくなる背景には、片麻痺そのものだけでなく、感覚入力の低下、体幹の支えにくさ、立ち上がりの不安定さ、注意の向けにくさなど、いくつもの要素が重なっています。さらに、骨折後の拘縮が加わると、股関節・膝・足首の動きが制限され、一歩を出すための準備だけでも大きなエネルギーが必要になります。
近年のレビューでは、脳卒中後の歩行では「歩く動作そのものに近い課題を、状態に合わせて積み上げること」が、歩行速度やバランスの改善につながる傾向が報告されています(Lee & Lee, 2025)。また、つまずきやすさに関係するつま先の上がり方に着目した研究でも、歩行課題に沿った反復が移動の質を高める可能性が示されています(He et al., 2026)。
今回の評価で見えてきたこと
今回の60代男性は、脳卒中の発症から約1年半が経過した時点で当院へ来られました。入院中は立位練習までが中心で、歩く場面はほとんどなかったと伺っています。生活は車椅子中心で、ご家族の願いは「まずはトイレまで歩いて行けること」。
評価時には、片麻痺に加えて、発症後の転落による右大腿骨骨折の影響が大きく残っていました。右股関節、膝、足に拘縮があり、膝装具とSLBを使っても、全介助で約5mの歩行がやっとという状態でした。注意面や空間認識、危険認識の弱さもあり、身体だけでなく、高次脳機能障害の問題も重要な要素の一つでした。
当院で行ったアプローチ
最初から長い距離を歩くことを目標にしたわけではありません。まずは全身のアライメントを整え、感覚入力を重ねながら、立ち上がりや起立の安定性を少しずつつくっていきました。そのうえで、歩行に必要な体重移動や一歩の出し方を、無理のない範囲で段階的に積み上げています。
もうひとつ大切にしたのは、当院だけで完結させないことです。ご自宅での関わり、訪問でのサポート、他の自費の取り組みともつなぎながら、「その場だけの変化」ではなく、生活に戻したときに使える動きへ近づけていきました。派手な一回の変化よりも、積み重ねの設計が大切なケースでした。
ビフォーアフター(動画と写真で見る変化)
▲ 施術前後の変化(動画)
発症から約2年が経った段階では、4点杖を使いながら、軽度〜中等度の介助で移動できる場面が増えてきました。もちろん、注意面や拘縮の課題は残っており、常に安全への配慮は必要です。それでも、「トイレまで歩いて行く」というご家族の目標に向けて、介助量の軽減が少しずつ見えてきたことは、とても大きな前進でした。※変化のあらわれ方には個人差があり、同じ結果をお約束するものではありません。
ご自宅でできる工夫
重度の片麻痺がある方のご自宅での工夫は、「頑張らせること」よりも「安全に、同じ動きを繰り返せる形をつくること」が大切です。以下は一般的な工夫で、必ずご本人の状態に合わせて行ってください。ふらつきが強い方は、ご家族の見守りや専門職の確認がある場面だけで行うようにしてください。
- 1椅子から立つ前に、足の位置と杖・手すりの位置を毎回そろえる。準備の形が一定になるだけで、立ち上がりのぶれが減りやすくなります。
- 2手すりの前で、左右へのゆっくりした体重移動を短時間だけ行う。歩く前の「乗る感覚」をつくる練習になります。
- 3寝室からトイレまでなど、実際に使う短い動線を区切って確認する。曲がる場所、立ち止まる場所、杖の置き直しが必要な場所を、ご家族も一緒に把握しておくと安心です。
痛みの増悪や転倒しそうな不安がある場合は無理をしないでください。状態によっては、動作そのものより環境調整が優先になることもあります。
ご自宅での関わり方に迷うときは、LINEでお気軽にご相談ください。ご本人だけでなく、ご家族の負担も含めて一緒に考えていきます。
研究からわかっていること
脳卒中後の歩行では、実際の歩行に近い課題を、今の状態に合わせて反復していく方法が、歩行速度やバランスの改善に結びつきやすいと報告されています(Lee & Lee, 2025)。また、つまずきやすさに関係するつま先の上がり方にも、歩行課題に沿った練習が役立つ可能性が示されています(He et al., 2026)。
さらに、ご家族が安全な範囲で動作練習に関わることは、移動面だけでなく、生活全体の準備にも意味があるとされています(Vloothuis et al., 2016)。ただし、重度の片麻痺や注意面の課題がある方では、何よりも安全性の確認が前提です。当院でも、ご家族の負担を減らすことと、ご本人の移動の質を高めることを、切り離さずに考えています。
脳卒中後の歩行でお悩みの方は京都・中京区へ
「歩くこと」が少し変わるだけで、ご本人の動きだけでなく、ご家族の見守りの緊張感も変わることがあります。脳卒中後の歩行は、脚の力だけでは語れません。立つ準備、体重移動、注意面、拘縮、そして家庭の動線まで含めて見ていくことが大切です。
京都オステオパシーセンター2Fでは、理学療法士・健康科学修士の大村颯太が、姿勢や動作を丁寧に確認しながら、自費の施術を行っています。脳卒中後の歩行や、ご家族の介助負担でお悩みの方は、京都・中京区の当院へご相談ください。
参考文献
- (Lee & Lee, 2025) Effects of Task-Oriented Training on Gait Outcomes and Balance in Individuals with Stroke: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials
- (He et al., 2026) Task-Specific Gait Training Strategies Targeting Toe Clearance in Hemiplegic Patients: A Systematic Review and Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials
- (Vloothuis et al., 2016) Caregiver-mediated exercises for improving outcomes after stroke
よくあるご質問
Q. 発症から時間が経っていても、歩行は変わりますか?
A. 個人差はありますが、発症から時間が経っていても、状態に合わせた歩行課題の積み上げで変化が見られることはあります。今回のように、まずは介助量の軽減を目標にする場合もあります。
Q. ご家族はどこまで関わればいいですか?
A. 無理に頑張りすぎる必要はありません。大切なのは、安全に関われる範囲を明確にすることです。当院では、ご本人の状態だけでなく、ご家族の負担もふまえて動線や関わり方を一緒に整理します。
Q. 骨折後の拘縮があっても見てもらえますか?
A. はい。拘縮があるケースでは、歩くことだけを急がず、立つ準備や体重移動、装具の使い方も含めて丁寧に確認していきます。
Q. まずはどんな目標を立てればいいですか?
A. いきなり長距離歩行ではなく、「トイレまでの移動」「立ち上がりを安定させる」「見守りの位置を一定にする」など、生活に近い小さな目標から始めるのがおすすめです。
Q. 相談や予約はどうすればいいですか?
A. LINEからのご相談が便利です。ご本人の状態だけでなく、ご家族が困っていることもあわせてお知らせください。
※本記事は個人の一例を紹介したもので、効果・変化には個人差があります。当院は医療機関ではなく、自費の施術を提供しています。
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