3歳の息子の便秘から学んだこと|オステオパシーの視点で見えた「体のつながり」
はじめに
京都オステオパシーセンター2Fの大村です。今日は少し個人的な話をさせてください。実は、うちの3歳の息子がここ数ヶ月、ひどい便秘に悩まされていました。1週間近く便が出ない日が続き、ようやく出るときには痛みで泣き叫ぶ。その痛みが怖くて、さらに我慢してしまう。そしてまた便が硬くなって、もっと痛くなる。この「痛い→我慢→硬くなる→もっと痛い」という悪循環を目の当たりにして、親としてとても辛い日々でした。でも同時に、オステオパシーを学んできた者として、「体の構造と機能」という視点からこの問題を見つめ直すことができました。今回は、その経験から学んだことを皆さんにお伝えしたいと思います。
第一章:便秘は「腸だけ」の問題ではなかった
便秘というと、多くの方が「食事の問題」「水分不足」と考えがちです。もちろんそれも大切な要素ですが、オステオパシーの視点から見ると、便秘には体の構造と神経系が深く関わっています。まず、骨盤の中心にある仙骨という骨からは、副交感神経(S2-S4)が出ています。この神経は直腸やS状結腸の蠕動運動、つまり便を押し出す動きを支配しています。仙骨の可動性が低下すると、この排便反射がうまく働かなくなることがあるのです。次に、横隔膜の動きも重要です。横隔膜は呼吸のための筋肉ですが、その動きは腹腔内圧の変動を通じて腸の蠕動を間接的にサポートしています。お子さんが緊張して浅い呼吸になっていると、この仕組みがうまく機能しません。さらに、胸腰椎移行部(T10-L2)は交感神経が腸の蠕動を抑制的にコントロールしている領域です。この部位に体性機能障害があると、交感神経が過剰に働き、腸の動きが鈍くなることがあります。息子の便秘を通じて、改めて「体は全体でつながっている」ということを実感しました。
第二章:オステオパシーで息子にしたこと
3歳のお子さんへのオステオパシーは、非常にソフトなタッチで行います。大人への施術とは異なり、お子さんの体はまだ発達途上にあるため、繊細で優しいアプローチが必要です。息子に対しては、まず仙骨の可動性を評価し、ソフトなタッチで調整を行いました。仙骨の動きが改善されることで、副交感神経の働きが正常化し、直腸の蠕動運動が促されます。次に、横隔膜のリリースを行いました。横隔膜の緊張を和らげることで、呼吸が深くなり、腹腔内圧の自然な変動が回復します。これが腸の動きを間接的にサポートします。そして、腹部の筋膜にもアプローチしました。腹部の筋膜や腹膜に緊張パターンがあると、腸の自由な動きが妨げられます。これを優しくリリースすることで、腸が本来の動きを取り戻す手助けをします。施術を重ねるうちに、息子の体全体がリラックスし、副交感神経が優位になっていく様子が感じられました。オステオパシーの施術は、直接便を出すためのものではありません。体が本来持っている「自ら治る力」を引き出すためのサポートです。
第三章:家庭で妻と一緒に取り組んだこと
オステオパシーの施術と並行して、家庭でのケアも見直しました。まず、毎日お風呂上がりに妻と交代で「の」の字マッサージを続けました。おへそを中心に時計回りに、手のひら全体で温めるようにゆっくり3〜5分。力は入れず、お子さんが嫌がらない範囲で行うのがポイントです。次に、トイレに足台を設置しました。小さなお子さんは足が床につかないと腹圧がかけにくく、排便が難しくなります。しっかり足がつく高さの台を置くだけで、排便姿勢が大きく改善されます。食事面では、水分をしっかり摂ることを最優先にし、食物繊維の多い食品を意識しました。バナナ、さつまいも、りんご、わかめ、ひじき、オートミールなどを日常的に取り入れ、オリーブオイルを料理に少量加えて便の滑りを良くする工夫もしました。そして何より大切だったのが、声かけです。「出なくても大丈夫だよ」「痛くないようにしようね」と安心させること。排便を強制しないこと。シャボン玉や風船ふくらましなど、深呼吸につながる遊びを通じてリラックスできる時間を作ること。これらの小さな積み重ねが、息子の心と体の両面に良い影響を与えてくれました。必要に応じて小児科で酸化マグネシウムなどの緩下剤を処方してもらい、まず「出しても痛くない」という成功体験を作ることも大切です。オステオパシーでの施術と、家庭でのケア。この2つを組み合わせることで、息子は少しずつ悪循環から抜け出しつつあります。
おわりに
親として息子の便秘に向き合った経験は、オステオパシーの施術者としても大きな学びになりました。便秘という一つの症状の裏には、腸の問題だけでなく、骨格、筋膜、自律神経、そして心の状態まで、体全体のつながりが関わっています。オステオパシーでの施術と、家庭でのケア。この2つを組み合わせることで、息子は少しずつ「痛くない排便」を経験できるようになり、悪循環が断ち切られつつあります。子供のオステオパシーを勉強中の自分にはとても貴重な経験となりました。今後も少しずつ勉強していき、子供に対する経験値も増やしていきたいと思います。お子さんの便秘で悩んでいるお父さん、お母さん。食事や生活習慣の改善だけでなく、体の構造や神経系からのアプローチという選択肢もあることを、ぜひ知っていただけたら嬉しいです。小児のオステオパシーがもっと広まればよいなと思います。
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ブログを書いたスタッフ
大村 颯太
〜薬に頼りすぎない人生を共に創る〜 理論に固執しすぎず、結果にこだわる柔軟な施術家を目指しています。 ・理学療法士 ・健康科学修士 ・発達ケア・アドバイザー ~Let's create a life together that doesn't rely too much on medication~ I aim to be a flexible therapist who focuses on results and doesn't get too hung up on theory. ・Physiotherapist ・Master of Health Science ・JEFPA certified foot care advisor ・developmental care advisor
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