はじめに
坐骨神経痛でお悩みの方の中で、「前かがみになると痛みが増す」「長時間座っていると症状が悪化する」といった訴えをよく耳にします。
これらの症状には、**フラットバック(Flat Back)**という姿勢変化が関与している可能性があります。
フラットバックとは、腰椎の自然な前弯カーブが失われた状態を指し、脊柱内の硬膜テンションの変化を引き起こし、結果として坐骨神経症状を誘発する要因の一つとされています。
今回は、このフラットバックのメカニズムと改善アプローチについて、理学療法士資格を有する施術者の視点からお話しします。
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フラットバックとは?

正常な腰椎は30~50°の前弯カーブを有しており、これが体重を効率的に分散し、脊髄神経を保護する重要な役割を果たしています。
しかし、フラットバックではこの生理的前弯が消失または減少し、腰椎がまっすぐに近い状態になってしまいます。
オステオパシー的視点での理解
オステオパシーでは、**「構造と機能は相互に関連している」**という基本原理があります。フラットバックは単なる姿勢の問題ではなく、全身の統合システムの破綻として捉えることが重要です。
- *fascial continuity(筋膜の連続性)**の観点から見ると、腰椎前弯の消失は:
- 後表層線(Superficial Back Line)の過緊張
- 前深層線(Deep Front Line)の機能不全
- 螺旋線(Spiral Line)のアンバランス
これらの筋膜ラインの破綻が相互に影響し合い、**body-wide compensation pattern(全身代償パターン)**を形成します。
神経系および膜系への影響
腰椎前弯の消失により、以下のような変化が生じます:
- 硬膜管の伸張:腰椎レベルで硬膜に引き伸ばされるような張力が加わる
- craniosacral rhythm(頭蓋仙骨リズム)の変調:中枢神経系の生理的リズムに影響
- autonomic dysfunction(自律神経機能異常):交感神経優位状態の継続
これらの変化が複合的に作用することで、坐骨神経痛が発現すると考えられています。
フラットバックの要因
1. 筋機能不全
深層筋の機能低下が主要な要因の一つです:
- 腹横筋(コアスタビリティの要)の活動低下
- 多裂筋(腰椎の分節的安定性)の機能不全
- 腸腰筋の短縮や機能異常
これらの筋肉は腰椎前弯の維持に重要な役割を果たしており、機能が低下すると骨盤後傾位となり、結果的にフラットバックを形成します。
2. 生活習慣要因
現代社会特有の生活パターンが影響しています:
- 長時間座位:デスクワークやスマートフォンの使用
- 運動不足:体幹筋群の廃用性変化
- 不良姿勢の習慣化:骨盤後傾位での活動が日常化
3. オステオパシー的観点からの要因
Primary respiratory mechanism(一次呼吸メカニズム)の失調
- 頭蓋仙骨系の動きの制限
- 硬膜の緊張パターンの異常
- 脳脊髄液の循環障害
Somatic dysfunction(体性機能障害)の蓄積
- 椎間関節の可動性低下
- 筋膜の粘性変化
- リンパ系の循環不良
4. 解剖学的・構造的要因
個体差による構造的特徴も関与します:
- Pelvic Incidence(PI)が低値:骨盤形態的に前弯を作りにくい
- 先天的な椎体形成異常
- 過去の外傷や手術の影響
オステオパシー的改善アプローチ
オステオパシーでは**「身体は一つのユニットである」**という原則に基づき、局所的な症状に対しても全身的な評価と治療を行います。
Craniosacral approach(頭蓋仙骨アプローチ)
硬膜系のリリース
- CV4(第四脳室圧迫)による中枢神経系のリセット
- 仙骨ベースのモビライゼーション
- 後頭骨-C1-C2複合体の調整
Primary respiratory mechanismの正常化
- 頭蓋リズムの回復
- 脳脊髄液循環の改善
- 中枢神経系の自己調整能力の向上
理学療法的統合アプローチ
当院では以下のような段階的な施術を行っています。
Phase 1:組織の柔軟性改善(オステオパシー的基盤作り)
硬膜テンションの調整
- 腰椎一椎間ごとの丁寧なモビライゼーション
- 胸椎の呼吸誘導型可動域改善
- 仙腸関節の生理的動きの正常化
筋膜の調整
- myofascial release による tissue texture の改善
- 胸腰筋膜の三次元的アプローチ
Phase 2:神経機能の再教育
深層筋の活性化指導
- 腹横筋の選択的収縮訓練(ドローイン)指導
- 多裂筋の分節的収縮パターンの運動指導
- 呼吸パターンの正常化指導
姿勢制御の改善指導
- 骨盤ニュートラルポジションの認識訓練
- 立位・座位での姿勢保持の運動指導
- 動的安定性向上のための運動指導
Phase 3:機能的統合
日常動作への応用指導
- 起立・着座動作の指導
- 歩行パターンの改善指導
- 職業特性に応じた動作指導
予防的アプローチ
- 定期的なセルフチェック方法の指導
- 環境調整(デスク環境など)のアドバイス
- 継続的な運動プログラムの提案
オステオパシーと理学療法の統合的視点
当院では、A.T.スティルの4つの基本原理を現代的な施術アプローチと統合した手法を行っています:
- 身体は一つのユニット:フラットバックを全身の適応パターンとして評価
- 構造と機能の相互関係:姿勢変化が神経・循環・代謝に与える影響を考慮
- 自然治癒力:身体の innate intelligence を引き出す手技の選択
- 合理的な施術:科学的根拠と手技療法の融合
Connect AI姿勢分析システムにより客観的な構造評価を行い、オステオパシー的触診で機能評価を実施。この両面からのアプローチにより、より包括的な施術を提供しています。
また、Foot look足裏測定装置で得られる足圧分布データを、ground reaction force の観点から解析し、下肢から体幹への運動連鎖とfascial chain の関連性を考慮した施術プログラムを構築しています。
まとめ
フラットバックによる坐骨神経痛は、オステオパシー的には全身の適応パターンの破綻として捉えることができます。
単純な症状の抑制ではなく、身体の innate intelligence(内在する知恵)を引き出し、自然治癒力を最大化することが根本的な改善につながります。
ただし、慢性的な適応パターンの変更には時間を要するため、**継続的な取り組みと patience(忍耐)**が必要になります。
「なかなか改善しない坐骨神経痛」「全身的な調和を取り戻したい」「オステオパシー的アプローチに興味がある」という方は、ぜひ一度ご相談ください。
手技による evaluation と施術を通じて、皆様の身体が本来持つ健康へ向かう力をサポートいたします。
お気軽にお問い合わせください。
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ブログを書いたスタッフ

大村 颯太
〜薬に頼りすぎない人生を共に創る〜 理論に固執しすぎず、結果にこだわる柔軟な施術家を目指しています。 ・理学療法士 ・健康科学修士 ・JEFPA認定足育アドバイザー ・発達ケア・アドバイザー初級 ~Let's create a life together that doesn't rely too much on medication~ I aim to be a flexible therapist who focuses on results and doesn't get too hung up on theory. ・Physiotherapist ・Master of Health Science ・JEFPA certified foot care advisor ・Beginner developmental care advisor
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