はじめに
「肩がこると気持ち悪くなる」「肩こりから吐き気がする」
そんな経験はありませんか?
実は、肩こりと吐き気の間には、神経・血流・自律神経など、複雑なつながりがあります。
この記事では、肩こりによって吐き気が生じる4つの代表的なメカニズムについて解説します。

1. 前庭-固有受容フィードバックのミスマッチ

人の体は、目(視覚)・耳の奥(前庭)・首や体の筋肉(固有受容)の情報を組み合わせて、身体の位置やバランスを感じ取っています。
ところが、首まわりの筋肉がこって緊張が強くなると、頸部の筋肉(特に深層筋)から送られる情報が過剰になり、脳が混乱。
これが「前庭-固有受容ミスマッチ」と呼ばれる状態です。
この状態になると、車酔いのような気持ち悪さやふわふわしためまいが生じ、吐き気を感じることがあります。
特に、デスクワークやスマホ操作などで長時間同じ姿勢を続ける方に多く見られます。
2. 頸部‐脳幹の自律神経ネットワークの刺激

首から肩にかけての筋肉(僧帽筋や後頭下筋群など)が強く緊張し、コリが生じると、痛みの信号が脳幹へと集まります。
脳幹には、
- 吐き気を引き起こす「嘔吐中枢」
- 自律神経を調整する「迷走神経複合体」
といった重要な中枢があります。
そこへ首の筋肉からの刺激が集中すると、交感神経と副交感神経のバランスが乱れ、吐き気やめまいが出やすくなります。
これは「頸性めまい(cervicogenic dizziness)」と呼ばれる状態にも関連しています。
3. 持続痛による交感神経優位化と胃運動低下
肩こりによる慢性的な痛みは、脳と身体にストレス反応を与えます。
このストレスは交感神経を過剰に働かせ、反対に**副交感神経(特に胃腸の動きを司る迷走神経)**の働きが抑えられます。
その結果、
- 胃の動きが悪くなり
- 食べ物の排出が遅れ
- 胃酸が逆流しやすくなる
といった症状が現れ、吐き気につながっていきます。
「胃が重たい」「食後にムカムカする」という方は、このメカニズムが関与している可能性があります。
4. 椎骨動脈血流の一過性低下

首の後ろにある後頭下筋群(こうとうかきんぐん)が過度に緊張すると、そのすぐ近くを通る椎骨動脈が圧迫されることがあります。
この椎骨動脈は、小脳や前庭系(バランスを司る脳の部位)に血液を送っている大事な血管です。
一時的にでも血流が低下すると、平衡感覚が乱れ、めまいや吐き気が出ることがあります。
ただし、このメカニズムについてはまだ研究段階であり、個人差があります。
終わりに
肩こりと吐き気の関係には、
- 感覚のズレ(ミスマッチ)
- 自律神経の乱れ
- 血流の影響
といった、身体の深い仕組みが関係しています。
「ただの肩こり」と放置せず、
もし吐き気やめまいを伴う場合は、頸部の筋・神経系にアプローチする専門的なケアが必要かもしれません。
当院では、オステオパシーの視点から、筋肉・神経・内臓のつながりを重視した施術を行っています。
肩こりがひどく、吐き気まで感じている方は、ぜひ一度ご相談ください。
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ブログを書いたスタッフ

大村 颯太
〜薬に頼りすぎない人生を共に創る〜 理論に固執しすぎず、結果にこだわる柔軟な施術家を目指しています。 ・理学療法士 ・健康科学修士 ・JEFPA認定足育アドバイザー ・発達ケア・アドバイザー初級 ~Let's create a life together that doesn't rely too much on medication~ I aim to be a flexible therapist who focuses on results and doesn't get too hung up on theory. ・Physiotherapist ・Master of Health Science ・JEFPA certified foot care advisor ・Beginner developmental care advisor
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